ある会社で社内SEを採用したときの話。
ある日、社内SEを増員することになった。
これまで技術職だった人間が採用などやったことが無い。どうやるんだ?
部長級にでもなれば面接に出るんだろうけど、
ヒラ社員の自分が何をする?自分も偉くなったもんだ。
これまでの転職活動を振り返ってみると、
初会の面接で現場の人が出て来る事がある。
どうやらそれをやれってことらしい。
全く知識が無いので、社内の詳しい人に教えてもらいながら進めることにした。
まずは求人を出す。基本はリクナビNEXT。
以前いた会社はケチなため無料のハローワークにだけ求人を出していたが、
採用担当にしてみると応募が多い割にいい人が来ないそうだ。
採用費はバンバン使っていいそうなんで何も考えずにリクナビNEXTへの掲載を勧めることにした。
リクナビNEXTは代理店を経由して申し込む。
もともと付き合いのあるところを使っただけなんで詳しくはないが、
「リクナビ 掲載」とかググるとたくさん出てくる。
掲載料は4週間で30万くらい。
申し込んだら求人の掲載内容を作るのだが、これが大変。
デザインと会社説明は今まで使っていたものの使いまわして
業務内容、必要なスキル、給与など固有の情報をテキストで用意し、
代理店の営業が形を整える。
求人ってどこも良さそうな事ばっかり書いてあるけど、
ネガティブな事を正直に掲載しようもんなら誰も応募するわけがない。
例えばこんな事。
・残業多め
・オーナー企業
・体育会系
・上司がパワハラ気味
・有給とりづらい
・人間関係最悪
正直なところブラックじゃないけど働きづらい、そんな感じ。
どこの会社でも不満はあるけど、とても他人に勧められるような職場じゃない。
あくまで仕事として割り切るが、仕事で生贄を募集するのは心が痛む。
でも来てくれないと上司に怒られるのよ自分が。
デザインや原稿が完成したらチェックして上司にみてもらい完了。
最後に経験した言語とか職種とか条件をエクセルで指定して、掲載と同時にダイレクトメールも飛ばして集客する。
掲載が始まったら、毎日リクナビの管理者ページを見て応募者のレジュメを確認していく。
ダイレクトメールの効果もあり、応募は最初がどかっと来きて、後はポロポロ来る。
掲載期間は4週間あるが、最後の2週間くらいは泣かず飛ばずでほとんど来ない。
レジュメを見ると30代後半~50代が多い。
IT系の仕事してて転職したくなる年齢ってそのくらいだよね。
でも即戦力で欲しいのは30前後のひと。でもさっぱり来ない。
応募が来ない場合はこちらからサジェストする事も可能。
出会い系サイトと同様に「足跡」が残るので、
良さそう人は自分からコンタクトがとれる。
めんどくさいからやって事ないけど。
ひたすら応募者のレジュメをチェックし、良さそうな人がいたら面接を調整する。
ここは内蔵のメール機能でやりとりする。
個人アドレスでやりとりしようもんなら、不採用時に何かありそうだし。
内容いいんだけど歳とりすぎてるんだよなーって微妙なラインの人は履歴書を送ってもらい、決め手が無ければ顔とかで判断する。人相悪いと書類NGとか普通にある。
そこでついに面接。
面接官の経験はなくとも業務とか技術的な話はできるので、世間話みたいな感じで進める。
立場はこっちが上なんで偉そうな感じにしたいけど自分にはそんなオーラは無い。
技術的なことはクリアできてる人を呼んでいるので、
選考基準としては、前述のネガティブポイントに対応できるかが重要である。
その会社の場合というか上司の趣向で、残業時間とかワークライフバランスとか聞いてくる奴はやる気が無いとみなされと落とされる。
最終的に能力じゃないんだよな、気合と根性と従順さ。まさに奴隷。
ストレートに実情話すと、いい人だったら辞退されかねないので言葉は相当選ぶ。
必然的にしゃべりはぎこちない。
大体1時間くらい話を聞き、その日は終了。
良さそうなら後日、上司を交えて面接を行う。
日程にもよるが、急いでいる場合は取締役も入って最終面接になる。
私も同席するが出番はないので座っているだけ。ここは楽でいい。
役員は見てる視点が違うんだろうけど、フィーリングだけで判断する感じ。
最低でも面接1回を勝ち残った人と面接するので、あんまりひどい人は来ない。
とまぁこんな感じで採用活動は進む。
リクナビの掲載が4週間なんでその間に1次面接の勝者を数人集めて、
同じ日に役員面接にかけて決めてもらう。
お勧めの人はだいたい決まってくるので毎回出来レースなのだが、
応募者が少ない場合は候補者も少なく、
その人を推しまくって入社させるしかない。なかなか大変だ。
内容どうこうより入社させるのが先決みたいなときもあった。
いろいろあり、これまで在籍した会社で3人採用したが、
今のところ誰も辞めていない。これは私が人を見る目があるのか?単なる運か。
この先採用のプロになるつもりはないが、どこの会社でも必要なスキルであることは間違いないと思う。