2回目の転職で入った会社は従業員2000人で店舗数100のサービス業。PCの代数は200台、基幹システムが稼働しているサーバーは5台ほど。この他にドメインコントローラやファイルサーバとか会計システムもある。
それまでは新卒から汎用機の開発と保守をやっていて、扱う言語もCOBOLだけ。案件は数多くあったが、将来が不安になり汎用機でない世界に羽ばたくために転職。うまいこと入社できたが、オーナー企業で相当苦労した。
社長はIT系に関してはちょっと詳しくて、私の入社する前から基幹系システムのリプレース開発に深く関わっていた。ただ、完成したあとに運用とか保守ってのがついてまわることが頭にまったく無かったようで、費用が高いとずっとベンダーと揉めていた。ちょっと知ってたって経営者の理解なんてそんなもんである。
社内の様々なシステムのお守りをするだけの「開発しない社内SE」は経営者からすると重要な仕事には見えないのだろう。そもそもCOBOL以外は自分にはできないのだが。
その会社で6年やってわかったことは、開発のプロジェクト以外では、前職のシステム開発の知識はほとんど活かせなかったことだ。その代わりに趣味でPCを組み立てたり、スマホやタブレットをいじったりと、ユーザー寄りの知識の方がよっぽど役に立った。
実際、メモリ増設のために裏ブタを開こうもんなら、社内の人からは相当驚かれる。パソコン分解できるんだ〜すご〜い!って。いや、ネジどめしてあるだけだから。自分ではなんでもない作業だが、ユーザーからするとすごいと思えてしまうのだろう。おまけにPCの動作が改善されればさらに感謝の嵐で神様みたいに扱われる。なんて楽な商売だ。
こんな調子で最初はよかったのだが、会社が順調に成長してしまうと、状況が変わってくる。1人しかいないのに、面倒を見る相手が増えるからだ。私の場合は従業員は倍になり、手狭になってオフィスも移転した。会社がでかくなっても経営者は社内SEの増員はしないとの判断。なぜならなんとか苦労して業務はまわっているから。
ここからはひたすら作業の省力化を続けるしかない。実践していたことを列挙してみる。今思うと偉そうでかなり酷いやつだったかも。ただ、なりふり構わず仕事をさばく必要があったから、いい人はできない仕事かもしれない。
- ToDoリストでもなんでもいいからタスク管理をしっかりやる → 一度に3人から同時に電話が来たりします。覚えられません。
- 口頭で仕事は受けない → 絶対忘れるから。メールしないと仕事は受けない!って偉そうに言ってました。本当に偉い人はこちらでメモしましょう。
- すぐ終わるタスクは最初に片付ける → 手持ちタスクは少ない方が精神衛生上好ましい。
- 複数の仕事を並行して進める → キッティングしながら、メールをさばく等。
- リモートでメンテナンスできる環境を作る → メンテは返って自宅でやる。土日夜間も会社のサーバーいじるのが趣味になっていた。
- 手間のかからない機器へ置き換える → ファイルサーバをNASにする等。
- 手間のかからないシステムへ置き換える → メールサーバをOffice365やGoogleAppsにする等。
- PCにインストールするソフトを減らす、制限する → Officeとブラウザ以外は使わせないのがベスト。PCの調子が悪くなるのを防ぐ。
- パスワードはユーザーに変更させない → セキュリティ的に絶対NGですが、保守性向上のためにはやむなし。
- 量が多い作業を業者に丸投げ → 特にキッティングはしんどいので即外注。
- 保守業務を業者に丸投げ → VPNをフルマネージドなタイプに置き換える等。しかし意外と高い。
- ハードウェアを買わない → いつか絶対壊れるから。
- 電話に出ない → 繁忙期は居留守使いまくり。電話なら最優先で対応するのはフェアではないと思う。
- 外出しない → 移動時間がもったいないので、必要ならリモートで対応する。
- 出社しない → 電話にでたくないから。社外の方がはかどる仕事もたまにある。